離婚によるローン残あり共有名義マンションの3つの処分方法と手順

離婚したので、今住んでいるマンションを売りに出したいけど、ローン残高が残っているから簡単には売れないかもしれません。どうすればいいのでしょうか?

確かに、住宅ローンが残っていると、マンションの売却は少し大変です。でも売れないことはありません。手間はかかりますが売却は可能です!

それを聞いて安心しました!じゃあ、何をすればいいのでしょうか。できるだけ簡単な手続きで進めたいのですが。

それでは、できるだけ簡単に売却の全れを紹介します。参考にしてください。
離婚によって、ローン返済中の夫婦共有名義マンションを売却するときには、大きく分けて3つの処分方法があります。方法を考える上では、「ローン残高が一括返済できる場合」「ローンが完済できない場合」、そして「マンションの共有名義から名義変更する場合」の3つのケースに分けて考えます。
そこで今回は、この3つのケースごとに事例を出して、マンションを処分する方法を解説していきます。
この記事の目次
ローン残高が一括返済できる場合
まず、マンションを売却してローン残高が一括返済できる場合の解説をします。結論から言うと、このケースが最も楽で手続きや揉めごとが少ないケースが多いです。
通常の売却活動
マンションを売却してローン残高が一括返済できる場合の財産分与については、通常通りのマンション売却手続きと同様です。通常通りというのは、不動産会社に査定依頼をして、仲介してくれる不動産会社を選ぶということです。
ただし、離婚時のマンション売却の際は以下の点に注意しましょう。
- 査定金額は目安の金額
- 売却金額を決めておく
- 引渡し時期を決めておく
この3点をしっかり理解し事前に決めておかないと、トラブルの元になってしまうのです。
査定金額は目安の金額
不動産会社がマンションの査定金額を算出してくれます。ここで注意するべきなのは、査定金額はあくまで「目安の金額に過ぎない」ということです。つまり、マンションを売却して、結果的に査定金額以下で成約することも考えられる点は認識しておきましょう。
特に、「ローン残債」と「査定金額」がギリギリのときには、ローンを完済できないケースも視野に入れておく必要があります。マンションの売り出し価格は、一度広告に出すと原則「価格を上げること」はできないので、その点も加味した上で売り出し価格を設定する必要があります。
売却金額を決めておく
離婚に伴うマンションの売却時は、事前に売却金額を決めておきましょう。夫婦それぞれ収入が異なるので、離婚後の生活を考えると「売りたい金額」の感覚が異なってくるからです。売却価格が固まっていなければ、売却活動中に揉めることもあります。
売却活動中に揉めてしまえば、営業担当は購入検討者へ返答ができずに購入検討者は検討を止めてしまうかもしれません。それは、結果的にマンションの売却スピードを遅らせ、売却金額を下げてしまうことにつながります。
引渡し時期を決めておく
また、前項と同じ理由で「引渡し時期」も決めておきましょう。マンションの売却が終わらないと離婚できないときなどもあるので、引渡時期のデッドラインを決めておき、その期限に向けて営業担当は戦略立案をしなくてはいけません。
余剰金の分配
離婚時のマンション売却の際に、売却金額でローンを完済できるなら余剰金を夫婦で分配することになります。仮に、そのマンションが夫婦共有名義であれば、その割合に応じて分配されます。たとえば、夫5:妻5の名義であれば、余剰金を折半するということです。
しかし、それは通常の売却のときであるため、離婚時の売却の場合はワケが違います。
分配金額は協議内容次第
離婚時に余剰金を分ける場合には、離婚時に協議した内容次第になります。通常は「離婚協議書」を、弁護士を介して作成し、その離婚協議書の内容に沿って分配されます。たとえば、夫が妻に慰謝料を支払う場合に、この余剰金の分配金を充てる場合もあります。
諸費用を忘れずに
余剰金を分配するときには諸費用を忘れないようにしましょう。マンションの売却時には「仲介手数料」「登記関係費用」などがかかってきます。そのため、この費用を「誰が」「いくら支払うか」は明確に決めておき、お金の支出と収入についてはキッチリ書面で残しておきましょう。
ローンが完済できない場合
つづいて、ローンが完済できない場合の話です。ローンが完済できないということは、たとえばローン残高が3,000万円あるのに、2,500万円程度しか査定額がつかない場合などです。この場合には以下3つの対応方法があります。
- 高値売却に挑戦する
- 任意売却する
- 慰謝料としてどちらかが住み続ける
また、今回のケースは、夫婦共有名義でマンションの想定です。
高値売却に挑戦する
1つ目の方法は、高値売却に挑戦するという方法です。先ほど例に挙げた「査定額2,500万円、ローン残高3,000万円」であれば、諸費用が120万円くらいかかるとして3,120万円程度で売却しなくてはいけません。
そのため、値引きを想定して3,190万円程度の売り出し価格になるので、査定金額2,500万円のエリアでは非常に厳しい売却活動になります。ただ、仮に3,120万円以上で売却できればローンは完済できるので、売却した後は前項で話した「ローン残高が一括返済できる場合」と同じような流れになります。
任意売却する
ローンを完済せずに売却する方法としては、任意売却という方法があります。任意売却とは、「残債がある状態でも抵当権を抹消してください」と金融機関に頼んで売却する方法です。金融機関と任意売却が合意できれば、残債がある状態でも抵当権を抹消できるので、マンションの売却ができるのです。
ただ、残債が消えるワケではなく、マンション売却後も借金は残ります。仮に500万円の残債があった場合には、夫婦でどの程度の借金を受け持つかを協議します。どの程度の借金を受け持つかについても、上述した「分配金額は協議内容次第」と同様です。
任意売却にはリスクもあるので、詳細は以下の記事で確認ください。
関連記事ローンが残っている!「残債ありマンション」から住み替えるための全手順
慰謝料としてどちらかが住み続ける
また、残債がある状態で任意売却したくないときには、マンションの売却はせずに住み続けるという選択があります。このとき、夫婦共有名義のものを単体名義にすることに関しては次項で解説します。ここでは、夫婦共有名義のまま、どちらかが住み続けるときの話です。
この場合には、慰謝料としてマンションに住むケースが多いです。つまり、「ローンの支払いは半分ずつであるが、実際は一人で暮らしている」という状態になるので、ローンの半分の金額は慰謝料としてもらっているという考え方になるのです。
ただ、この場合もきちんと離婚協議書として書面で残しておかないと、「ローンの半分を支払ってもらっている」という扱いから「贈与」と見なされる場合もあるので注意しましょう。
共有名義のマンションを名義変更する場合
さいごに、共有名義のマンションを名義変更するというケースです。このケースは、共有名義から単体の名義にするということなので、名義から外れる人が単体の名義の人に、マンションを「贈与する」ということになります。この場合も前項と同様で、慰謝料として単体名義にするケースがほとんどです。
このようなケースの場合、以下の点に注意しましょう。
- 贈与税がかからないようにする
- ローンの支払い者を変える
贈与税がかからないようにする
名義を共有が単体名義にするので、本来であれば名義変更した分は「贈与」と見なされる危険があります。贈与税は、数ある税金の中でも最も高い税率※1の部類になるので気を付けましょう。贈与にならないため、弁護士を介して離婚協議書を作成する必要があります。
※1 国税庁「贈与税」
https://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4408.htm
ローンの支払い者を変える
共有名義ということで、夫婦がどちらもローンの支払いをしていると仮定します。その場合は、ローンの支払い者を、本来であれば名義人に変える必要があるのです。理由は、上述している内容と同様、「贈与」と見なされてしまうからです。
要は、名義人でもない人間がローン支払いをしているということは、名義人に対してローン金額分を贈与しているということになるのです。しかし、慰謝料としてマンションの名義を単体に変更したのであれば、ローン支払いを名義人にしてしまうと、慰謝料の意味がなくなってしまいます。
そのため、通常は前項と同様「離婚協議書」を作成して、贈与とみなされてないようにするのです。しかし、この場合は、ローン支払い者がローンを滞納するなどという事態になれば、マンションは金融機関によって強制的に処分されるので気を付けましょう。
まとめ
このように、ローン残債がある場合のマンション売却は、色々なパターンがあります。また、そのパターンによって、贈与と見なされるリスクがあったり、離婚協議書が必要だったりします。どのような状況であろうとケースバイケースであるため、必ず弁護士に確認しましょう。
弁護士を介して、きちんと離婚協議書を作成しておかないと、後々トラブルになるリスクがあります。
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