東京オリンピックと今度のマンション価格の推移予想
現在マンションをはじめ不動産価格は上昇傾向にあります。
しかし、それも少しずつ収束に向かっているとおも言われています。2020年に東京オリンピック開催を控える中で、今後のマンション価格はどうなっていくのか?こればかりは誰にもわかりません。
しかし、現在のマンション価格の推移やマンションの契約率、そして東京オリンピック効果の検証から「予測」を立てることは可能です。今回は、東京オリンピックと今後のマンション価格をテーマにお話していきます。
この記事の目次
現在のマンション価格について
現在のマンション価格は、結論からいうと過去20年の中で最も高水準の価格帯になっています。事実、首都圏の新築マンション価格は以下のように推移※1しています。
- 平成23年:4,578万円
- 平成24年:4,540万円
- 平成25年:4,929万円
- 平成26年:5,060万円
- 平成27年:5,518万円
平成27年の金額は、データがある平成8年以降で最も高水準の価格です。さらに、見て分かる昨年と平成23年を比べても20%以上開きがあるほど高水準です。
※1国土交通省HPより引用 不動産経済研究所調べ
http://www.mlit.go.jp/statistics/details/t-jutaku-2_tk_000002.html
中古マンションは新築マンション価格に連動
先ほどのマンション価格は新築マンション価格の推移でしたが、基本的には中古マンション価格は新築マンション価格と連動します。
やはり、中古マンションを見ている方は中古マンションも並行して見ている方もいます。その時に、新築マンション価格が高ければ、自ずと中古マンションも高く売りに出されるのです。
実際の首都圏中古マンション70㎡換算価格は以下のように推移※2しています。
- 平成23年:2,979万円
- 平成24年:2,863万円
- 平成25年:2,791万円
- 平成26年:2,851万円
- 平成27年:3,070万円
昨年の3,070万円は過去11年間で2番目に高い金額です。一番高い金額は平成20年の3,128万円ですので、新築価格推移を見る限り高水準で推移する事が分かります。
つまり、新築マンション価格が上がっており、中古マンションも上がっているという状態がまさに「今」ということです。
※2東京カンテイ 『中古マンション70㎡換算価格推移』2015年(年間版)
http://www.kantei.ne.jp/release/PDFs/c2015.pdf
マンション価格上昇の理由
それでは、そもそもマンション価格が上昇した理由は何であろうか?という話に移ります。不動産業界で言われているのは、以下の3点です。
- 建築資材や人件費の高騰
- 円安による海外資産かの流入
- 東京オリンピック効果
いずれもキーワードになる言葉は「建築需要」です。
建築資材や人件費の高騰
まず挙げられる原因は、建築資材と人件費の高騰です。この「建築費の上昇」は、国土交通省が出している「建築指数推移」というデータ※3を見れば一目瞭然です。この建築資材と人件費高騰理由は以下の3点が挙げられます。
- 東日本大震災の復旧
- 中国の不動産バブル
- 東京オリンピックによる建築需要の増加
この3点に共通しているのは、建築需要が伸びているという点です。需要が伸びているということは、建築費もそれに伴う人件費も上がってきます。そのため、結果的に建築費が上がったことにより、マンション価格が上がったのです。
※3国土交通省
http://www.mlit.go.jp/statistics/details/t-jutaku-2_tk_000002.html
円安による海外資産かの流入
また、アベノミクスが始まって以来、一時期は1ドル70円台をつけていた為替も、一時は1ドル120円台をつけるくらいまで円安になりました。
単純に計算すると5,000万円の物件が714,285ドルから416,666ドルまで下がったということになります。(1ドル70円と120円で比較)
そのため首都圏のタワーマンションを中心に、中国や欧米の投資家からの資金流入が進んだのです。こちらも前項と同様、需要が増せば価格が上がります。
そのため、海外勢の日本マンション需要が増し、マンション価格は上がっていったのです。
東京オリンピック効果
そして最後に東京オリンピック効果です。こちらも前項と同様「需要」に関連してくるところです。東京オリンピックが進んで以来、建築に関わる以下の点が進みました。
- 公共インフラの整備
- スタジアムなどの建設
特に、公共インフラの整備はアベノミクス三本の矢の一つである「財政出動」にも関わってくる点です。
つまり、国の持っているお金をインフラ整備に投下して、世の中にお金を回そうという意図です。お金を回せば企業の収益が上がります。また、お金が多くなればお金の価値が下がり物件が上がる「インフレ」誘導効果もあるのです。
また、東京オリンピックを開催するためのスタジアムや選手村など、建築物も増加します。この2点により建築需要が増し、前項で説明した「建築資材の高騰」「人件費の高騰」に拍車をかけたのです。
マンション価格の構成比
マンション価格を構成する要素は以下の3点です。
- 土地代
- 建築費
- 販売促進費
まずはそのマンションを建てるための土地代です。そして、建築費と販売促進費とつづきます。販売促進費とは、そのマンションを売るための経費です。たとえば「広告費用」「モデルルーム費用」「人件費」などが、販売促進費に該当します。
この3つの要素の比率はマンションによって異なりますが、目安としては「土地代:2~3割程度」「建築費:5~6割程度」「販売促進費:1割程度」となります。
つまり、建築費の比率が圧倒的に高いのです。そのため、前項で説明したように建築費が上がることで、マンション価格に大きな影響を及ぼします。逆に言うと、今後のマンション価格は今後の建築費がどうなるのかを考える必要があるということです。
オリンピック効果について
先ほどいったようにオリンピックが決まったことにより、建築需要が増し建築や人件費が上がりました。それでは、その効果はいつまで続くでしょうか?
結論からいうと、今後は収束に向かっていく可能性が高いです。
現在の状況
東京オリンピックは2013年に開催が決定しました。つまり、今より3年前に決まっており、2016年10月時点で建築物やインフラ整備は大方決定しています。
もちろん、まだ建築中の施設やインフラもありますが、今後新たに大きな建築が計画されることは、ほぼないでしょう。
つまり、東京オリンピックによる建築需要は収束に向かっていくということです。収束に向かうということは需要が減ります。需要が減るということは建築費が下がり、結果的にマンション価格が下がってくるということです。
消費者マインド
また、一時期は「アベノミクス」と「東京オリンピック景気」と呼ばれる状態により、消費者マインドも好調でした。
消費者マインドの好不調を表す「契約率」という数字がありますが、この数字が70%を突破すればマンション市況は「消費者マインド良好」と言われています。
平成22年~27年は70%の数字を大きく上回ってましたが、2016年は恐らく70%を切ってきます。
事実、2016年1月からは以下のような推移になっています。
- 1月:66.4%
- 2月:67.8%
- 3月:72.9%
- 4月:68.4%
- 5月:69.6%
- 6月:63.9%
- 7月:66.6%
※不動産経済研究所データより抜粋して作成
https://www.fudousankeizai.co.jp/mansion
このように、高騰したマンション価格に、消費者マインドが段々と追い付かなくなっているということが分かります。そのため、マンションを売るならギリギリ消費者マインドが落ち込み切っていなく、かつマンション価格が高水準である「今」が良い時期といえます。
そのほかの要素
そのほかにマンション価格上昇の理由に挙げた「東日本大震災復旧」と「円安による資金流入」に関しては、今後は減速していくと考えられます。というよりは、この2点は既に落ち着きつつあります。
東日本大震災での被害は完全に復旧はしていませんが、今後爆発的に建築需要が増すとは考えにくいです。
同じく、円安も落ち着いている状態である今、海外から更に投資マネーが入ってくるとも考えにくいです。そのため、このオリンピック効果を見ておく必要があるのです。
まとめ
このように、結論からいうとマンションを売却するタイミングは今が適切と言えそうです。東京オリンピック効果で高騰したマンション価格の恩恵を受けることが出来ますし、消費者マインドも冷え切ってはいないからです。
しかし、タイミングを少しでも逃してしまうと消費者マインドが冷えたり、新築マンションの価格下落が始まったりしてしまうかもしれません。そのため、なるべく早く行動することをお勧めします。
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