【マンション買い換えの手順】「先に売る」より「後に売る」がお得?

マンションの住み替えを検討していますが、住み替え先の購入と、今のマンションの売却は同時に行った方がいいのでしょうか。

マンションの買い換えは、タイミングよく売却と購入の手続きができればいいのですが、現実はそう都合よく進みません。そこで、どちらかを先に進める必要があるのです。

じゃあ、一番お得で出費が少ない方法で進めたいのですが、どの方法が一番いいのでしょうか。

実は、今のマンションの人気や相場状況によって、先売り・後売りのどちらがいいのかは大きく変わってきますので、あなたのニーズによって判断する必要があるのです。
マンションを買い替える時には、「購入」と「売却」の2つの手続きがあります。この2つの手続きは、それぞれの「流れ」があるので、まずはその流れをしっかりと把握する事が大切です。
そして、今住んでいる家を先に売るのか(先売り)、後に売るのか(後売り)も決めなくてはいけません。
今回は、そんな買い替えの注意点を踏まえ、特に何に気を付けて買い替えを勧めるべきかのポイントを説明します。
この記事の目次
購入時と売却時の流れ
マンションは高額な買い物なので、購入する時も売却する時も手続きが煩雑になります。ただし、その手続きの流れをしっかり理解していないと、「予想以上に時間がかかってしまった」という事にもなり兼ねません。
そのため、マンションを買い替える時は、まず購入時と売却時の流れを確認する事が重要になります。
マンション購入時の流れ
まずはマンション購入時の流れからご説明します。以下に記載した「所要期間」については、あくまで目安の期間になるので、これより長くなる場合も短くなる場合もあります。
- インターネットで自ら検索するか、不動産会社に行って希望のマンションを探して貰う:数日
- 目当てのマンションがあれば実際に見学をする:1~2か月
- 申込・売買契約を行う:1週間前後
- 物件の引渡及び引越しを行う:売買契約から1ヵ月~2か月
全体的な流れは以上のような流れになります。
1物件探し
まずは物件探しから始めます。一般的な探し方は、インターネットで「〇〇駅 マンション」などと検索する事です。そうすると不動産ポータルサイト(SUUMOやHOMES)に繋がるか、不動産会社のホームページに繋がります。
また、近くにある不動産会社に直接訪問するという手もあります。インターネットで検索するよりは手間がかかりますが、その代わり不動産会社でしか知り得ない情報があるかもしれません。購入の流れや注意点も聞けるので、一度は不動産会社に行ってみる事をお勧めします。
2マンションの見学をする
目当ての物件があれば、それが新築マンションであれば売主(分譲不動産会社)に連絡をして見学予約をします。その物件が中古物件であれば、仲介会社(仲介不動産会社)に見学の予約を入れます。
その後に不動産会社が予定を調整して、見学日時を決めます。新築マンションであれば、大抵はモデルルームへ見学に行き、中古マンションであれば実際の部屋を見に行きます。
中古物件の方が売主の都合も加味するため、予定の調整をしにくいです。出来れば1日だけでなく、いくつか見学希望日を投げておきましょう。
3申込・売買契約
物件を見学して購入意欲が固まったら、値段や引渡時期などの交渉を売主と行います。新築物件であれば、値引きできる事は少ないですし、引渡時期も原則決まっています。
中古物件であれば、その辺りはある程度交渉に応じてくれるので、価格と引渡時期を決めて、買主・売主共に納得すれば「申込」をします。
ただし、原則は「資金確定」が出来ていなければ申し込みは出来ません。つまり、住宅ローンを組む場合には、住宅ローンの仮審査をして「承諾」が出なければ申し込めないケースが多いです。
住宅ローンの仮審査の結果は早ければ1営業日、遅くとも1週間以内には出ます。
申込後、概ね1週間以内に手付金(物件価格の数%~10%程度)を振込み、振込後に売買契約を締結します。
4引渡&引越し
売買契約締結後、遅くとも2か月以内には物件の引渡が行われます。売主と買主の合意があれば、引渡約定日前なら引渡日はいつでも構いません。買主が契約から引渡までに行わなければいけない事は以下の事です。
- 金融機関との金銭消費貸借契約(住宅ローンの契約)
- 引越し準備
引渡日を過ぎると、物件の所有権は買主に移ります。そのため、買主は引渡日以降はいつ引越しても良いという事になります。
上記がマンションを購入する時の全体的な流れや手続き関係になります。
マンション売却時の流れ
つづいて、マンション売却時の流れをご説明します。購入時と同じく、以下に記載してある所要期間については、あくまで目安の期間になります。
- 不動産会社に査定依頼をして査定額を算出してもらう:1~2週間
- 不動産会社と媒介契約を結ぶ:数日
- 売却活動:3か月程度
- 申込・売買契約:1週間前後
- 物件の引渡及び引越しを行う:売買契約から1ヵ月~2か月
全体的な流れは以上のような流れになります。
1マンションの査定
まずは、マンションの査定を行います。査定をする時の流れは以下の通りです。
- インターネットなどで不動産会社に査定依頼をする
- 「机上査定(物件を見ない査定)」の結果を電話やメールで受ける
- 実際に部屋をみてもらう「実査定」を行う
査定時に注意するべきポイントは、「複数社に査定依頼する」という点です。査定依頼する不動産会社が1社だけであれば、その1社が「苦手なエリア」である場合には安い金額でしか売れません。
また、複数社を見比べる事によって、不動産会社の優劣を判断できます。マンション売却の時には、この「不動産会社選び」が大きな鍵を握っていますので、査定依頼は慎重に行いましょう。
2媒介契約を結ぶ
媒介契約とは、「あなたの会社に私のマンションの売却を依頼します」という内容の契約です。媒介契約を結ぶ時のポイントは「査定額が高いという理由だけで契約しない」という事です。
不動産会社の中には、「とにかく媒介契約を結ぶ」という目的だけで、査定額を高く提示してくる不動産会社もあります。ただし、そのような不動産会社は、売却活動中に「今のままでは売れません。価格を下げましょう」と言ってくる事が多いです。
そのため、媒介契約を結ぶ不動産会社は査定額の「高さ」ではなく、「根拠」で選ぶべきです。その不動産会社の査定額の根拠が信頼できるかどうかという意味です。
3売却活動
売却活動は主に不動産会社が行いますが、具体的には以下のような事を行います。
- チラシやインターネット掲載などの広告活動
- 物件見学者などの日時調整
- 物件案内
売主側が認識しておくポイントは、「なるべく見学者の予定に合わせる」という事です。見学者は、時には平日の夜に見学を希望する方もいます。なるべくではありますが、そのような見学者にも柔軟に対応しましょう。
4申込・契約
検討者が現れ、価格交渉と引渡時期の交渉が成立すれば申込となります。申込から概ね1週間以内に不動産会社は売買契約書の作成をします。そして、買主からの手付金入金を確認した後に、売買契約の締結となります。
この時点で売主都合の契約解除には違約金(手付金と同額を支払う)が発生するので、注意しましょう。
5物件の引渡&引越し
契約から遅くとも2か月以内には物件を引渡さなければいけません(売主・買主の合意があれば2か月以上も可能)。売主が売買契約から引渡までにやるべき事は以下です。
- 抵当権抹消手続き
- 引越し準備
上記2点について、売主は「日程」に注意しなければいけません。まず、抵当権抹消手続きは金融機関の営業日(主に平日の日中)に、住宅ローン借入者が直接金融機関に行かなければいけません。
また、混んでいれば1~2時間以上の時間がかかりますので、特に会社員の方は前もって時間の確保をしておく必要があります。
また、引越し準備も早めに進めておきましょう。先ほど言ったように、買主は引渡日以降であれば引越しは自由です。一方、売主は引渡日までには必ず引越しを完了している必要があるからです。
以上がマンションを売却する側の全体的な流れと注意点になります。
先売りと後売りについて
買い替え時の購入・売却の流れが分かった所で、次に抑えておくべきポイントは先売りにするか後売りにするかと言う点です。先売り・後売りはそれぞれメリット・デメリットがハッキリしているので、自分のシチュエーションに応じて選択すると良いでしょう。
先売りについて
結論から言うと、先売りをした方が良い方は「仮住まい」に抵抗がなく、ある程度次に住みたいマンションが決まっている方です。また、物件を売る事が既に決まっている(転勤などで)方も先売りパターンの方が向いています。
理由は以下のメリット・デメリットにあります。
先売りのメリット
- 売却期間を気にしないで良い
- 住居費がダブルでかかることがない
- 売却金額が確定しているので資金計画が立てやすい
先に物件を売却してから新しいマンションを購入するので、売却を急ぐ必要がありません。売却を急ぐ必要がないという事は、値引き交渉に応じる必要もないので、高い金額でマンションが売れやすいです。
また、マンションを売却してから新しい物件を買うので、家のローンがダブルでかかる事もありません。その上、売却金額が決まっているので、新しい家の予算組もしやすいというメリットがあります。
先売りのデメリット
- 仮住まいが発生する
- 引越し費用がかかる
先に今住んでいるマンションを売却するので、余程スムーズに行かない限り、一度賃貸マンションなどに仮住まいする必要があります。仮住まいをするので、引越しの手間と費用が倍になるという点がデメリットです。
後は、良い物件がなければ暫く仮住まいの家に住まなくてはいけない点もデメリットになります。
この仮住まいを受け入る事ができる事が、先売りをする絶対条件です。また、次の物件がある程度決まっていれば仮住まい期間も短くて済むので、先売りに「向いている」のです。
後売りについて
結論から言うと、後売りをした方が良い方は「どうしても欲しい物件がある人」、「最悪住居費がダブルでかかっても問題ない人」です。理由は以下のメリット・デメリットにあります。
後売りのメリット
- 購入物件をゆっくり選べる
- 空き家にしてから売り出せる
後売りなので、最悪欲しい物件がなければ今の家に住み続ける事ができます。そのため、購入したい物件をじっくり探し、良い家があった時に新しい家を先に契約すれば良いのです。また、仮に新しい家に引っ越す事が出来れば、今の家を空き家の状態で売れます。
空き家の状態で売りに出せれば、案内も楽ですし購入検討者も見学しやすいです。
後売りのデメリット
- 住居費がダブルでかかる事がある
- 売却金額が確定していないので資金計画が立てにくい
- 新しい家のローン審査が厳しくなる
ただし、新しい家を購入してすぐに今の家が売れなければ、ダブルで住居費がかかってしまいます。また、今の家の査定をしていたとしても、査定額通りに売れるかは分かりません。
3,000万円で売れると思っていた家が2,700万円での成約になってしまうかもしれません。つまり、立てていた資金計画が崩れてしまうという事なので、手持ち金額が予想以上に減ってしまう事もあります。
また、新しい家のローン審査を「今の家を持っている前提」で行うと、審査が非常に厳しくなります。
逆に「今の家を売る前提」で審査をすると、新しい家の引渡までに今の家が売れないと、新しい家の契約は解除されてしまいます。このように、後売りの場合は不確定要素が多いというデメリットがあるのです。
先売りか?後売りか?
このように、先売りと後売りはメリット・デメリットが全く異なります。基本的には先売りをしておいた方が無難です。なぜなら、後売りを選択した時には「住居費がダブルでかかる可能性がある」という非常に大きなデメリットがあるからです。
どうしても欲しい物件があり、早く契約しないと間に合わない時。そして、今の物件も早めに売れる(立地条件が良いなど)物件である時。この2点が揃わない限り後売りは避けましょう。
ただ、新しい家を「停止条件付契約」で結べる場合は後売りでも良いです。停止条件付契約とは、「もし今の家が○月○日までに〇〇万円で売れなければ、(新しい家の)売買契約は白紙解約になります」という特約付きの契約です。
この停止条件付契約で新しい家の契約を締結しておけば、住居費をダブルで支払う事はありません。そのリスクヘッジが出来るのであれば後売りは推奨します。
ただし、停止条件付契約ができるのは、基本的に新築物件だけです。中古物件で停止条件付契約を締結できる物件は稀です。
まとめ
このようにマンションの買い換えには、購入・売却という2つの手続きがあるので、比較的大変な作業になります。また、買い替えには先売りと後売りがあり、この2つは大きくメリット・デメリットが違うので、良く認識しておきましょう。
先売り・後売りの選択を間違えてしまうと、資金計画が大幅にくるってしまう可能性があります。まずは、先売りで考えておき、停止条件付契約が出来るのであれば、後売りを検討するという流れがお勧めです。
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