マンション住み替え時に失敗しやすい2つの注意点と理想的な流れを徹底解説

もう少し広いマンションに住み替えたいから、今のマンションを売って新しいところに引っ越ししたいけど、その時の注意点ってありますか?

マンションの住み替えは、車の買い替えなどと違い、注意すべき点がたくさんあります。タイミングの違いで、不要な出費が増えることもあり、事前に調べておく必要がありますよ。

そうなんですね。できるだけお得に、そして、無駄な労力をかけずに住み替えしたいのですが可能でしょうか?

マンションの購入はともかく、売却は相手がある話なので、こちらのペース通りには進みませんが、事前に準備しておくと、対応もスムーズになる場合が多いので、しっかり勉強しておくことが重要です!
新しいマンションを購入し、今住んでいるマンションから住み替える場合には、購入と売却の2つの手続きをする必要があります。
どっちか一方でさえ手続きには手間がかかりますが、それが両方となると更に手間がかかります。また、売却と購入のどっちを先に行うかで流れや注意点は大きく変わります。
今回は、そんなマンションの住み替えの流れや、気を付けるべき事について解説します。
「住み替え時の仮住まいや引越し費用の大まかな相場とコストを抑えるコツ」や「こんなに要るの?マンション住み替え時の4つの税金は要注意!」の記事も併せてご覧ください。
この記事の目次
今のマンションを新しいマンションの購入より「先」に売却する場合
新しいマンションの購入より先に、今のマンションを売却することを「先売り」と言います。先売りの流れは以下のようになります。
- 今のマンションの査定をして不動産会社と媒介契約を結ぶ
- 今のマンションの売却活動を始める
- 今のマンションの売買契約を結ぶ
- 今のマンションの引渡を完了させる
- 賃貸マンションに仮住まいする
- 次に住む物件を探し始める
- 新しいマンションの売買契約を結ぶ
- 新しいマンションの引渡が終われば、新しいマンションに引越しをする
新しいマンションを購入するタイミングはいつでも大丈夫です。例えば、今のマンションの売買契約を結ぶ直前でも、上記のように今のマンションの引渡後でも問題ありません。
仮に、新しいマンションが思ったよりも早く見つかり、今のマンションの引渡とのタイミングが合えば仮住まいする必要はありません。
ただ、先売りの場合は、今のマンションの売却の方が早くなる事が多いので、仮住まいになる可能性が高い点は認識しておきましょう。この「仮住まい」が先売りをする時の鍵を握っています。
先売りを選択する際のメリット
この先売りを選択する時には、以下のメリットがあります。
- 住宅費用がダブルでかかる事がない
- 仮住まいを覚悟すれば、ある程度気にせずに売却できる
- 売却金額が確定してから購入すれば、資金計画を立てやすい
こちらのメリットも前項で言ったように、新しいマンションの購入時期によります。今回の場合は前項で説明した流れの通り、今のマンションの引渡の後に新しいマンションを購入するケースで考えます。
その場合には、今のマンションと新しいマンションの住宅費がダブルで掛かる事はありません。また、新しいマンションを購入したワケではないので、今のマンションを売り急ぐ必要はありません。
売り急ぐ必要がないという事は、無駄な値引き交渉に応じたり時期を見極めたりする事ができるので、自分のマンションを高く売りやすいです。
更に、今のマンションの売却が済んでいるので、手元にどのくらいの資金があるかが明確です。そのため、その手元資金を基に、新しいマンションの予算を立てる事が出来るのです。
そうすることによって、無理のない予算立てが出来、資金的にも自分自身に見合ったマンションを選ぶことができます。
先売りを選択する際のデメリット
この先売りを選択する時には、以下のデメリットがあります。
- 仮住まいの発生
- 目当ての物件がなければ仮住まいにしばらく住む事になる
先売りのデメリットは、やはり仮住まいが発生する事です。仮住まいが発生するという事は、引越し費用もかかってきますし、引越しをする際の手間もかかってきます。
また、先に今のマンションを売ってしまっているので、新しいマンションが見つかるまでは、仮住まいのマンションに住み続けなければいけません。
極端な話、良い物件が見つからないのであれば、仮住まいの賃貸にずっと住み続ける事にもなり得るのです。
そのため、あまりに変なマンションに住むわけにもいかないので、仮住まいの部屋を探したり契約したりする手間もかかってきます。
今のマンションを新しいマンションの購入より「後」に売却する場合
前項の先売りとは逆に、あ新しいマンションの購入の後に、今のマンションを売却することを「後売り」と言います。後売りの流れは以下のようになります。
- 新しいマンションを探し始める
- 新しいマンションの売買契約を結ぶ
- 今のマンションの査定をして不動産会社と媒介契約を結ぶ
- 今のマンションの売却活動を始める
- 今のマンションの売買契約を結ぶ
- 新しいマンションの引渡が終われば、新しいマンションに引越しをする
- 今のマンションの引渡を完了させる
後売りは上記のような流れになります。新しいマンションを購入してから今のマンションの売却をするので、上記の流れは今のマンションの売却が完了するタイミングで変わってきます。
一般的な後売りは、新しいマンションの引渡より先に売れる事は少ないので、上記のような流れになります。
後売りを選択する際のメリット
この後売りを選択する時のメリットは、「目当ての物件がある時だけマンションを売却すれば良い」と言う点です。前項で説明した先売りの場合は、先に今のマンションを売ってしまうので、今住んでいるマンションに戻る事は出来ません。
しかし、後売りの場合は、目当てのマンションが見つかって、そのマンションの売買契約を結んでから売却活動をはじめます。
そのため、仮に目当てのマンションがなかったら、今のマンションに住み続ければ良いのです。この点は、後売りをする唯一にして最大のメリットになります。
後売りを選択する際のデメリット
この後売りを選択する時には、以下のデメリットがあります。
- 住居費がダブルでかかる可能性がある
- 資金計画が立てにくい
後売りは、新しいマンションを購入してから今のマンションを売ります。そのため、今のマンションと新しいマンションの住居費がダブルで掛かる可能性があるのです。
これは資金的な負担が大きいので、非常に大きなデメリットになります。
また、後売りは、今のマンションの売却より先に新しいマンションを購入します。ということは、今のマンションがいくらで売れるか分からない状態のまま、新しいマンション購入するという事です。
仮に、自分の予想よりもかなり下の金額で今の家が売れてしまえば、自分が想像していた収支とは大きく異なってしまいます。この「損益が読めず資金計画が立てにくい」という点も後売りのデメリットです。
先売りか?後売りか?
先売りをするか後売りをするかの判断は「停止条件付き契約」ができるかどうかで判断するべきです。
停止条件付き契約とは、「新しいマンションの売買契約は結びます。でも、今のマンションが〇月○日までに〇〇万円以上で売れなかったら、新しいマンションの売買契約は白紙解約とさせてください。」という契約です。
つまり、停止(新しい家の売買契約の白紙解約)条件(今の家の売却時期と売却金額)付きで新しい家の売買契約をする事です。この停止条件付契約を結べるのであれば、後売りの最大のネックである、「住居費がダブルで掛かる」というリスクがなくなります。
新築物件であれば停止条件付き契約が出来るマンションが多いであす。しかし、中古マンションであれば売主としてのリスクが大きいので、停止条件付き契約をOKする売主は少ないです。
そのため、中古マンションの購入をする場合には、先売りを選択した方が無難です。どうしても後売りで中古物件(停止条件付き契約ができない)を購入する場合には、ダブルで住居費がかかる事は覚悟して新しいマンションを購入しましょう。
マンションの住み替え時に住宅ローンを組んでいる場合
結論から言うと、マンションの住み替え時に住宅ローンを組んでいる場合には、その住宅ローンを完済してからでないとマンションは売却できません。理由は、抵当権を抹消できないからです。
抵当権が設定されていると、住宅ローンを組んでいる金融機関が、そのマンションを「処分」する権利があります。そのため、住宅ローンを完済して、その抵当権を抹消する必要があるのです。
買い替えローンの活用
仮に今の家を売却しても、今の家の住宅ローンが残ってしまう時には、買い替えローンを利用できます。買い換えローンは、マンション(不動産)を住み替える時にだけ利用できる住宅ローンです。
この住宅ローンを利用すれば、新しく購入するマンションの住宅ローンと、今の家の残債の両方の金額を組む事が出来ます。例えば、以下のような状況の時には残債の500万円と、新しい家の2,700万円の合計3,200万円のローンを組むことが出来るのです。
- 今の家の住宅ロ―ンが3,000万円残っている
- 今の家は2,500万円での売却になる(つまり残債は500万円)
- 新しい家は2,700万円で購入する
売却益を頭金にする場合
マンションを住み替える場合には、今のマンションの売却益を、新しいマンションの頭金にすることも出来ます。例えば以下のケースで考えてみましょう。
- 今の家の査定額が3,000万円である
- 今の家のローン残債が2,400万円である
- 新しい家の購入金額が3,200万円である
この時には、査定額通りで今のマンションを売却出来れば、600万円売却金額(3,000万円-2,400万円)が余ります。
しかし、この600万円を、全て新しいマンションの頭金として計算するのは危険です。「査定額より下回って売却」した場合と、「売却時の諸費用」を加味する必要があります。
査定額は3,000万円ですが、仮に3%下回った2,900万円で成約したと仮定しましょう。また売却時の諸費用も「売却金額×4%」ほどが目安なので、「2,900万円×4%」の116万円ほどで計算しておきましょう。
その時には「売却予想額2,900万円-残債2,400万円-諸費用116万円」という計算になり、384万円が頭金となります。
このように、万が一の事を考えて、頭金は少なめに見積もっておくべきです。仮に、予想以上に今のマンションが高く売れた場合には、頭金を追加すれば良いのです。
もし、頭金の追加が間に合わなければ、新しいマンションの引渡後に、すぐ繰り上げ返済をすれば問題ありません。
まとめ
このようにマンションの住み替えには、先売りと後売りという2つの住み替え方法があります。どちらを選ぶかで抱えるリスクと、得られるメリットが異なりますので、この2つは特に理解しておく必要があります。
また、住み替え時には「残債」「売買にかかる諸費用」の2点に注意しなければいけません。この2つの金額をキチンと精査し、新しいマンションの予算は決めましょう。
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