マンション売却時の「買取」は大損?そのメリットとデメリットを徹底解説
マンションを売却するときには、「仲介」以外にも「買取」という方法があります。買取は仲介ほど知られていない売却手段ですが、人によっては「買取」をした方が良い場合もあります。
しかし、買取はメリット・デメリットがはっきりしているので、メリット・デメリットをしっかり把握してから決断する必要があります。そこで今回は、マンションの買取りについて、徹底解説します。
この記事の目次
そもそも買取とは?
そもそも買取とは、不動産会社が物件を買い取ることをいいます。通常の「仲介」ですと、不動産会社は買い手を探してくるだけです。
しかし、買取だと不動産会社自らが物件を買い取ることになるのです。不動産会社はその物件を買い取った後に、そのまま再販するか、リノベーションをしてから再販します。
つまり、不動産会社は「転売」することを目的に、不動産を買い取るということです。仲介との大きな違いは、「買主が不動産会社になる」という点と、「転売目的で買い取る」という点です。
その「違い」によって、買取りのメリット・デメリットは決まってきます。
買取のメリット
売主からすると、買取を利用してマンションを売却するメリットは以下の通りです。
- 周囲に知られずに売却できる
- 決済スピードが早い
- 売却活動が不要
- 瑕疵担保責任がない
周囲に知られずに売却できる
まず、買取だと不動産会社がマンションを買い取るため、広告活動をする必要がありません。仲介であれば、チラシをまいたりネット掲載をしたりします。
ただし、買取の場合は、せいぜい何社か(もしくは決まっていれば1社)の不動産会社の担当者が物件を見に来るだけです。そのため、周囲に売却していることが知られずに、マンションの売却を進めることができます。
決済スピードが早い
買取をする2つ目のメリットは「決済スピード」です。不動産会社が物件を購入するときは、キャッシュで購入することが多いです。
また、仮に不動産会社が融資で購入したとしても、一般個人が住宅ローンで購入するより融資決済のスピードが早いです。たとえば、一般個人が住宅ローンの融資を受けてマンションを購入するときは、以下のような流れになります。
- 金融機関へ「事前審査」をする:結果1営業日~5営業日程度
- 事前審査が承認になれば「本審査」をする:結果5営業日~10営業日程度
- 本審査が終わればローンの本契約である「金銭消費貸借契約」を結ぶ
上記の通り、事前審査や本審査には時間がかかります。また、金銭消費貸借契約も金融機関がオープンしているタイミングで、店舗へ来訪し手続きをする金融機関もあります。
そうなると、平日の日中の手続きになるので、働いている人はわざわざ半休を取らざるを得ません。
このように、一般個人が住宅ローン融資を受けるためには、非常に時間がかかるのです。事前審査からカウントすると、融資実行が行われるまで、早くても2週間はかかります。しかし、買取だと不動産会社が買主になるので、売買契約締結から最短数日で引渡をすることも可能なのです。
売却活動が不要
買取りをする3つ目のメリットは、売却活動が不要という点です。通常の「仲介」でマンションを売却すると、以下のような流れになります。
- マンションの査定を行う
- 不動産会社を選定して、媒介契約を締結
- ネット掲載やチラシなどの広告活動
- 見学者の接客をして交渉を行う
- 合意したら申込・契約
- 物件の引渡
特に「4」の見学者への対応は時間がかかります。実際に接客するのは不動産会社ですが、事前に清掃したり色々な準備をしたりするのは売主の役目です。
そして、何よりも休みの日などに、わざわざ家にいなくてはいけない点が最も煩わしいです。このような、売却に関する手間が買取であればかからないのです。この点は、買取の大きなメリットになっています。
瑕疵担保責任がない
不動産を売買するときには、売主は瑕疵担保責任を負います。瑕疵担保責任とは、引渡した物件に何か欠陥があったとき、その欠陥部分を売主が補償する責任です。つまり、物件の引渡が完了した後も、売主は物件を補償する責任があるということです。
しかし、この瑕疵担保責任は、売主が個人で買主が不動産会社のときには免除されます。そのため、万が一引渡後に欠陥が発覚しても、それはプロである不動産会社(買主)の責任ということになるのです。
買取のデメリット
買取をする際の売主側のデメリットは「売却価格が下がる」という点です。売却価格は7割程度まで下がってしまう事もあります。この点は、買取の唯一にして最大のデメリットになります。
買取価格が7割下がってしまうということは、4,000万円で売れたはずのマンションが、2,800万円まで下がってしまうということです。
売却金額が下がる理由
なぜ、ここまで売却金額が下がってしまうかというと、先ほどいったように不動産会社がマンションを買い取った後に「転売」するからです。
不動産会社も買い取った後に転売するので、マンションを相場価格で買い取ってしまうと、相場価格以上で売り出す必要があります。
また、マンションを買い取るときも転売するときも、諸費用がかかります。さらに、転売する時には広告費などの販売促進費もかかるのです。
つまり、相場価格で買い取ってしまうと相場価格以上で売り出さなければならないということです。そのため、相場価格よりも安い金額での買取になってしまうのです。
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買取に向いてる人
このように、買取にはメリット・デメリットがあります。このような買取をすることが、「向いている人」は以下のような人です。
- 早く現金化したい人
- 周囲に売却を知られたくない人
- 煩わしいことが嫌いな人
早く現金化したい人
たとえば、早急に現金が必要であり、1ヵ月後にまとまったお金が欲しい人などです。1ヵ月という期間では、マンションを売り出して決済までするのは、通常の売却だと非常に難しいです。そのため、このように現金化を急ぐ人は買取に向いています。
周囲に売却を知られたくない人
何かの事情があり、隣近所の方に知られずに、ひっそりと売却したい方です。買取であれば、家に不動産会社が出入するだけなので、周囲に知られずに売却しやすいです。
煩わしいことが嫌いな人
休みの日に見学者を迎え入れたり、見学者が来るたびに色々と用意したりするのが煩わしい方です。マンションをはじめとした不動産の売却は、割と手間暇がかかります。
そのため、特に高齢の方などは、そのような煩わしいことを避ける傾向にあります。そんな人には、不動産会社が買主である「買取」は、手間も少なく、手続きも楽なので向いています。
買取保証付き
買取には、単にマンションを買い取る以外にも、「買取保証付き」という売却方法があります。買取保証付きとは、一定期間は通常通り売却して、一定期間経過したら買取をするという売り方です。
買取保証付きのメリット
買取保証付きのメリットは、通常の売却もするので買取よりも高く売れる可能性がある点です。通常通り売却している期間で相場並みに売れたら良いですし、仮に売れなくても買取をしてくれます。
つまり、一定期間は相場価格並みに売れるよう、通常の売却にチャレンジできるということです。
買取保証付きのデメリット
買取保証付きのデメリットは、「仲介」と「買取」のどちらのメリットも最大限活かせないという点です。仲介のメリットである「高額で売れる」という点も、結局買取になったら受けられないメリットになります。
また、「決済スピード」や「売却の手間」など、上述した買取のメリットは、最初は通常売却をするため受けられないのです。
買取保証付きに向いている人
買取保証付きの売却に向いている人は、既に新しい物件を購入している人などです。たとえば、3ヵ月後に新しく買ったマンションの決済があるとします。しかし、その時には今住んでいるマンションの売却益を充てないといけないとします。
そんな時には、2か月間通常の売却をして、2か月売れなければ買取をするという「買取保証付き」の売却が便利です。もしかしたら相場価格で売れるかもしれませんし、万が一売れなくても、3ヵ月後の新しいマンションの決済までには間に合うからです。
まとめ
このように、マンションの売却の際に「買取」を選ぶと、メリット・デメリットがはっきりしています。買取は売却価格が極端に下がっているので、通常の「仲介」で売却をする人が多いです。しかし、特に「決済スピ―ド」を理由に買取を選ぶ人もいます。
仮に、買取をするときにも、査定はしっかりと行っておきましょう。なぜなら、買取をする時にも不動産会社によって査定額は異なるからです。また、少しでも条件の良い不動産会社を見つければ、百万円単位で売却金額は変わってくることもあります。
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