マンション売却における「キャンセル」について
マンションを売却していると、取引が「キャンセル」になる場合があります。しかし、マンションは高額な商品ということもあり、キャンセルをされてしまうと、特に売主のリスクが大きくなります。
そこで、マンションの取引でキャンセルが発生すると、相応のペナルティを設定しています。そのペナルティは売主も買主も関係してきますので、ペナルティの内容については売買取引前に理解しておきましょう。
この記事の目次
売却途中のキャンセルについて
マンションを売却するときの流れは以下の通りです。
- マンションの査定を依頼する
- 不動産会社と媒介契約を結ぶ
- 売却活動を行う
- 買主が申込を行う
- 売買契約を締結する
- マンションの引渡を行う
このマンション売却の流れで、売主と買主間で「キャンセル」が発生するのは「4」の申込と「5」の契約です。結論から言うと、申込キャンセルには買主のリスクはなく、契約キャンセルは買主・売主ともにリスクがあります。
申込キャンセルについて
買主のマンション購入検討が高まり「契約したい」と思えば、まず「申込」をします。申込は「資金確定」を条件にしていることが多いので、住宅ローンの審査に通っていないと申込ができないことが多いです。
また、申込時には「申込金」としては、10万円程度のお金を買主が売主に預け入れることもあります。
買主側にはキャンセルリスクはない
申込は不動産会社が作成する「申込書」に記名・押印をします。この申込書には法的な拘束力がないため、申込キャンセルをしても買主はリスクがありません。
仮に、申込金を預け入れていたとしても、申込キャンセルになったら売主は買主へ申込金を返還する必要があります。
申込をキャンセルする方法は、不動産会社が作成する申込書の内容によります。申込書に「契約予定日を過ぎたらキャンセルになる」という文言があれば、申込キャンセル書類などはないため、契約予定日を過ぎれば自動的にキャンセルになります。
売主側にはキャンセルリスクがある
一方、売主側は申込キャンセルされてしまうと以下のようなリスクがあります。
- 見学者が二番手の案内になる
- 二番手は即決してないので検討確度が下がる
- 広告活動が一からスタートになる
- 申込金の返還作業などがある
見学者が二番手の案内になる
まず、申込を受けるということは、申込者と契約を結ぶ前提であるということです。つまり、もうその部屋へ案内しても「申込済み」になっているので、申込後からの見学者は購入意欲があっても「二番手」の扱いになります。
場合によっては「申込済み」と伝えると、見学キャンセルになることも少なくありません。見学者からすると、仮にその部屋を気に入っても、買える可能性が極端に低くなるので無理もありません。
即決しないと検討確度は下がる
仮に、見学者が来て購入意欲が高まり「二番手」の検討者が現れたとします。そして、現在の申込者がキャンセルになれば、二番手の方に「申込がキャンセルになりました」と連絡を入れます。しかし、二番手の方は「なぜキャンセルになったのか」という点を気にします。
「マンションに何か不備があるのか?」と疑われてしまう場合もあるのです。そのようなときには、最悪の場合検討取りやめになる場合もあるのです。
また、マンションは高額な買い物のため、時間が空くと気持ちが冷めてしまう場合も少なくありません。その場で申込をして次週契約であればスムーズに取引できた方も、二番手の扱いになり時間がかかったことで、検討取りやめになってしまう可能性もあるのです。
広告活動が一からスタートになる
申込が入ると、不動産会は広告をストップさせます。不動産会社によっては「契約まではネット広告は継続」という会社もありますが、少なくとも申込前よりは広告ボリュームが落ちます。そのため、1~2週間は集客力が下がります。
また、広告を全てストップさせた場合には、申込キャンセル後に再度広告活動をする必要があります。特に紙媒体は再度デザインを決め印刷をかけるので、再開が遅くなる場合があるのです。
つまり、申込キャンセルをされると、1~2週間以上広告がストップしてしまい、集客に影響するというリスクがあるのです。
申込金の返還作業などがある
仮に申込金を徴収していた場合には、申込金の返還作業があります。大抵の場合、申込金は不動産会社の口座か売主の口座に振り込まれています。その返還作業という無駄な作業をしなければいけない点も、申込キャンセルのデメリットです。
契約キャンセルについて
契約キャンセルのリスクは、売主・買主ともにあり、そのリスクは申込キャンセルの比ではありません。多額な金銭的リスクがあるため、契約キャンセルのリスクは売買契約締結前に必ず把握しておきましょう。
手付金について
手付金とは、売買契約締結前に物件代金の一部を、買主が売主へ支払う金額のことです。仮に、全て住宅ローンで支払う場合には、手付金はマンションの引渡時に買主へ返還されます。
たとえば、価格4,000万円のマンションを売却したとします。そのときに、買主は住宅ローンを4,000万円組み購入する計画でしたが、手付金は400万円支払ったとします。
そのときには、手付金として支払った400万円が余剰金になるので、マンションの引渡時には400万円は買主へ返還しなければいけないのです。
また、中古マンション(中古不動産全般)の手付金額には「上限」が設定されていません。ただ、宅地建物取引法の39条には「宅地建物取引業者が売主の場合には売却金額の2割が上限」と定められています。
そのため、個人間取引である中古マンションの売買のときも、売却代金の2割を超えて手付金を受領することは、ほぼありません。一般的には、「100万円」や「売却代金の10%」などで設定する場合が多いです。この金額は不動産会社を含め、売主・買主の合意により決定します。
売主・買主のリスク
売買契約をキャンセルする売主・買主のリスクは以下の通りです。この内容は売買契約書に盛り込まれている内容になります。
- 買主は自己都合のキャンセルの場合、手付金が没収される
- 売主が売買契約をキャンセルするときは手付金を返還し、手付金と同額を買主に支払う
つまり、手付金額がそのまま違約金額となるということです。手付金は100万円単位の金額になるので、手付金が違約金になるのは大きなリスクになります。
買主の自己都合キャンセルについて
買主は売主と違い「自己都合」の場合のみ、違約金として手付金が発生します。自己都合とは、単純に「他の物件が欲しくなった」などの理由があります。ほかにも注意しなければいけないのが、「住宅ローン」に関してです。
たとえば、引渡の前に「転職」や「他の借入」を起こしてしまったとします。それが発覚したことにより、住宅ローンの審査が非承認になれば、それは「自己都合」と見なされてしまいます。その場合は、売買契約書通り、手付金が没収されて売買契約は解約になるので注意しましょう。
まとめ
上述した内容をまとめると以下の通りです。
- マンションの売買取引では「申込」と「契約」時にキャンセルがある
- 申込キャンセルは買主のリスクはないが、売主のリスクはある
- 契約キャンセルは、買主・売主ともに手付金が違約金となる
売主としては、申込キャンセルは大きなリスクとなります。そのため、購入意欲をきちんと確かめてから申込を受ける必要があります。売買契約キャンセルは、売主・買主ともに大きなリスクになります。
とくに、買主側は、住宅ローンでの予期せぬキャンセルには十分注意しましょう。
コメント
この記事へのコメントはありません。
コメントする