専門家しか知らないマンション売却の査定の仕組みと高価査定のコツ

マンションを売りに出そうと思っているけど、査定額ってどうやって決まるんですか。

マンションの査定額は、近隣の相場状況などを参考に不動産業者が決めますが、その仕組み私たちが思っている以上に複雑です。

近隣相場を見ながら決めるだけじゃないんですね。納得した価格で売りたいから、査定の根拠が知りたいんだけど。。。

確かに、マンションを売却する時は、売り出し価格の根拠を理解するのはとっても重要なことです!では、プロしか知らない査定額決定のプロセスを一緒に見ていきましょう!
マンションを高く早く売るためには、適切な査定価格から適切な売り出し価格を導き出す必要があります。ただ、その仕組みは、不動産売却のプロである不動産屋さんしか知られていません。
そこで、今回はマンション売却の査定価格がどのように決まるかを専門家である私ができるだけ詳しく解説します。査定価格が決まる流れが分かれば、「適正」価格の判断がしやすいですよ。
この記事の目次
知っておきたい「3つの金額」の意味は?
まずは査定価格以外に、「相場価格」「売り出し価格」という言葉を知っておきましょう。この3つの価格の意味を知っておかないと、査定価格を適切に導き出す事はできません。
相場価格と査定価格
相場価格とは、実際に売却された(成約した)金額を基準に算出する、「そのエリアのおおよその不動産価格」の事を言います。
良く「相場的にこのエリアなら坪〇〇万円で売れる」と言いますが、これを言い換えると「この前坪〇〇万円で実際売れたから、今回の金額も坪〇〇万円で売れるであろう」となります。
相場価格を算出し、その価格を参考に査定価格を算出します。つまり、査定価格が飛びぬけて高い不動産会社は、相場価格が高く算出されている。
もしくは、相場価格から査定価格を精査する時に重要な要素があったという事です。そのため、その相場価格の算出根拠を良く確認する必要があります。
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売り出し価格について
売り出し価格とは、チラシやインターネットなどの広告物で実際に掲載される価格の事です。売り出し価格は、一度世の中に公開したら原則は価格を上げる事は出来ません。そのため、売り出し価格の設定は慎重に行います。
また、売り出し価格は、前項でお話した査定価格を基準に算出します。中古物件は値引きが入る事が多いので、査定価格より少し高めに売り出し価格を設定することが多いです。
広告に掲載している売り出し価格を見て、購入検討者は物件見学をするかの判断をします。そのため、「周辺の物件と比較して高すぎないか?」など、購入検討者が見比べると思われる物件の売り出し価格はチェックする必要があります。その金額差によって集客は大きく変わってくるのです。
この3つの価格を説明して何が言いたかったというと、全ては「相場価格」が基準になるという事です。査定価格は相場価格から算出しますし、その査定価格から売り出し価格を算出します。
そして、相場価格は「周辺の成約事例」が基準になっていますので、マンション査定価格も必然的に成約事例が大切になってきます。
査定価格を算出する流れ
前項で言ったように、査定価格を算出するためにはまず相場価格を算出します。そして、相場価格は周辺の成約事例を基にします。
具体的な流れ
具体的には以下の順番で査定価格を算出します。
- REINS※の情報や自社の情報から、物件周辺の成約事例をピックアップ(相場価格の算出)
- ピックアップした物件から、「駅距離」「広さ」「間取り」「築年数」「向き」など、条件に近い物件を更に絞り込む
- その絞り込んだ物件と、査定するマンションを比較して査定価格を算出する
大まかに言うと上記のような流れになります。例えば、インターネットで「〇〇駅 マンション」と検索すると、不動産ポータルサイトなどで、現在売り出されているマンションをチェックできます。
しかし、そこに掲載されている金額はあくまで「売り出し価格」なのです。
つまり、そのマンションが実際に売れる時には、そこから値引きされている可能性もあるのです。そのため、売り出し価格ではなく、キチンと「成約価格」を調べなければいけないのです。
※REINSとはReal Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)の略称です。不動産会社のみ閲覧可能なネットワークシステムで、成約事例や売り出し事例などを調べられます。
同じマンションは2つとない
同じ条件のマンションは2つとありません。ただ、正確な査定価格を算出するためには、なるべく似ている物件を探す必要があります。先ほど色々な条件を挙げましたが、査定価格を算出する時には以下の条件の優先順位が高いです。
- 駅距離・エリア
- 築年数
- 広さ・間取り
- 向き
- 階数
大抵の不動産会社が、上記のような順番で優先順位を付けます。つまり、似ている物件があっても、広さ・間取りが同じ物件より、駅距離・エリアが同じ物件の方がより参考にするという事です。
やはりマンションはエリアが命です。駅からの距離と同じエリアに成約事例があれば、例え広さが違っても坪単価に直して計算すれば良いのです。
例えば、自分の最寄り駅を想像してみてください。仮に東口・西口のように出口が2つあるとしたら、それぞれ雰囲気は違うと思います。
これが「エリア」の違いです。いくら駅距離が同じでも東口と西口で価格が10%以上違う事も少なくありません。だからこそ、まずは「駅距離・エリア」を優先させるのです。
なぜ不動産会社によって査定価格が違うのか
前項でお話したように、成約事例から相場価格を算出します。そして、更に条件の近い物件を参考に精査し、査定価格を算出します。このような査定価格の算出方法は、どこの不動産会社も同じです。
では、なぜ不動産会社によって査定価格が異なるのかと言うと、不動産会社によって「補正額」が異なるからです。
補正とは?
補正とは、相場価格を不動産会社が各々修正する事です。修正する要素としては以下のような点があります。
- 競合状況や顧客特性
- 不動産会社の営業ノウハウ
- 不動産全体市況
- エリアの将来性
このような要素は不動産会社によって捉え方が異なります。そのため、不動産会社によって査定価格が上下するのです。注意しなければいけない点は、先ほども少し触れましたが、査定価格が高ければ良いというワケではない点です。
査定価格が高いという事は、上記のような要素の何かしらを高く評価しているという事です。その根拠が伴っていれば良いですが、伴っていなければ信用できない査定価格になります。
具体的な事例
例えば、A社の査定価格は2,500万円でB社の査定価格は2,800万円だったとします。成約事例や他社を見るとA社の2,500万円が相場価格のようですが、B社の査定価格の理由が以下のような理由であればどうでしょうか。
- B社は直近で周辺エリアのマンションを2室成約している
- B社はその時に検討度合いの強かった購入検討者8組に直接アプローチできる
- その時に利用した営業ツールや営業トークはそのまま利用できる
- 過去の販売経験からこのエリアを購入する人は、今後の「開発」が訴求ポイントだと理解している
このような理由があればB社が査定価格を高く算出しても説得力があります。そもそも直近で成約事例があるので、その時の顧客にアプローチができます。その顧客はエリア的には気に入っているので、非常に有力な顧客になるのです。
また、その時の営業ノウハウがツールやトークとして蓄積されているので、成約率も上がります。更に、その時の経験を活かして、エリア的な将来性や購入検討者に高く評価される点を把握しています。
このような様々な要素で不動産会社は査定価格に「補正」をかけるのです。その補正額が不動産会社によってマチマチなので、査定価格にバラつきが出るのです。
まとめ

マンションの査定価格は相場価格が基準になります。ただ、相場価格を精査する過程で入る「補正」が正しいかどうかの判断が、マンションを高く売れるかどうかの重要な要素になります。
つまり、根拠が明確で納得性のある不動産会社を見極めることが、マンション売却成功のカギと言えるのです。
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