繰上返済の種類とは?マンション売却時の「一括繰上返済」の注意点
マンションを売却するときには、基本的にはマンションの住宅ローン残債を完済しなければいけません。そのため、マンション売却時には住宅ローンを繰上返済する必要があるのです。
その繰り上げ返済時にも費用がかかる場合もあるので注意しましょう。今回は、そんな「繰上返済」について解説します。
この記事の目次
マンション売却時のローン返済
そもそも、マンションを売却するときに残債がある場合には、住宅ローンを完済する必要があります。その理由は、金融機関がマンションに抵当権を設定しているからです。その抵当権を抹消するためには、住宅ローンの完済が条件になるのです。
抵当権とは、平たくいうと「担保」のことなので、抵当権を抹消しない限りは金融機関がマンションを担保にしています。マンションが担保になっていては購入者が困ってしまうので、抵当権を抹消して担保設定を解除する必要があるというワケです。
厳密にいうと、住宅ローンの残債がある状態でも、「買い替えローンの利用」「任意売却」という手段を利用すればマンションの売却は可能です。詳細は以下の記事をご参照ください。
繰上返済とは何か?
そもそも繰上返済とは、住宅ローンの元本を一気に返済することです。たとえば、3,000万円借り入れを起こし、3年後に100万円分、元本を一気に返済することを繰上返済といいます。
そもそも利息を支払っている
住宅ローンを組む時には「金利」というものがあります。金利は、住宅ローンの金額に所定の利率をかけ、「利息」として徴収されるものです。たとえば、借入期間35年、借入金額4,000万円、金利1%で住宅ローンを組んだとします。
そのときの総返済額は47,423,753円になるので、7,423,753円分の利息がかかっているということです。毎月の返済額の中には、この利息分と元本である4,000万円分のどちらの金額も含まれています。
繰上返済は元本返済
一方、繰上返済をすると、元本を一気に返済することができます。そのため、繰上返済をすると、返済期間を圧縮したり返済金額を減らしたりすることができるのです。仮に、先ほどの例と同じく、借入期間35年、借入金額4,000万円、金利1%で住宅ローンを組んだとします。
その時に5年後300万円の繰上返済をした場合には以下のようになります。
- 借入期間が32年1か月となり、期間が2年11か月短縮する
- 月々返済が112,914円から103,265円になり、9,649円減る
上記1の場合には返済金額は変わりません。一方、上記2の場合には借入期間が変わらないので、いずれか好きな方を選ぶことになります。
このように、繰り上げ返済は元本を返済するので、効果が大きいです。また、総返済額は47,423,753円から46,950,057円になるので、総返済額を47万円ほど減らすことが出来ます。
一括繰上返済時の注意点
つづいて、繰上返済についての注意点です。繰上返済には、「一部繰り上げ返済」と「一括繰上返済」の2種類があります。マンションを売却したときには「一括繰上返済」になりますが、一部繰り上げ返済との違いも知っておきましょう。
「一括繰上返済」と「一部繰り上げ返済」との違い
一部繰り上げ返済と一括繰上返済の違いは、その名の通り、住宅ローンの残債を一部返済するか全て返済するかの違いです。当然、マンションを売却するときには住宅ローンを完済する必要があるので、残債の全てを返済する必要があります。
そのため、マンションを売却するときには、必然的に「一括繰上返済」になるのです。この2つの繰上返済の決定的な違いは、次項でお話する「手数料」です。
手数料がかかる
一部繰り上げ返済の場合には、ネットからの手続きであれば「手数料無料」としている銀行が多いです。しかし、一括繰上返済をすると、1~3万円ほどの手数料がかかる点は認識しておきましょう。銀行によって手数料額は異なるので、事前に確認しておくことをおススメします。
手数料がかかる理由
そもそも、なぜ手数料がかかるかというと、一括繰上返済は銀行の収益を減らす行為だからです。銀行が住宅ローンを融資するのは、「金利」分で収益を上げるためです。しかし、一括繰上返済をされてしまうと、見込んでいたはずの収益が減ります。
たとえば、借入期間35年で組んでいて5年経過時点でマンションを売却するとします。その場合、銀行からすると残りの30年間で得られるはずの金利による収益は0円になります。
そのため、一括繰上返済には手数料がかかるのです。この考えだと一部繰り上げ返済も収益が圧迫されるので手数料がかかりそうですが、ほとんどの銀行は一部繰り上げ返済手数料に関しては0円にしています。
銀行関係の詳しい手続きに関しては、こちらの記事も参考にしてください。
参考マンション売却時の抵当権抹消手続きはいつするの?銀行との手続きまとめ
保証料が戻ってくる
また、一括繰上返済をすると、借入者がトクをすることもあります。それが、「保証料の返還」です。上記の「一括返済時の手数料」と、この「保証料の返還分」も加味して諸費用は計算しましょう。そうしないと、正確な諸費額を出す事は出来ません。
保証料とは?
保証料とは、保証人の代わりをしてくれる保証会社に支払う費用のことです。保証会社は保証人の代わりをしているので、借入者が返済不能になれば、代わりに残債を銀行へ支払います。そして、銀行の代わりに、保証会社が「新たな債権者」になるのです。
保証料の金額は銀行によって異なります。銀行によっては保証料0円の銀行もあれば、借入金額の2%を徴収する銀行もあります。仮に、保証料を支払っているとすると、次項のように保証料が返還されるのです。
保証料が返還される仕組み
保証料は、あくまで借入期間と借入金額に対して保証金額が決まってきます。たとえば、借入期間30年、借入金額が4,000万円で、保証料を80万円支払っているとします。その80万円という保証料は、あくまで30年間の借入期間中の「保証」ということになります。
つまり、借入期間が15年時点で一括繰上返済をすると、残りの15年分は保証しなくて良い期間になるということです。そのため、15年分の保証料が返還されます。返還される保証料の目安は、支払った保証料と借入期間額の按分です。
たとえば、先ほどの例でいうと、借入期間30年で80万円の保証料でした。そのため、借入から15年時点で一括繰上返済(借入期間が残り15年の時に売却)すれば、半分の40万円は返還される計算です。ただし、上述したように、一括繰上返済手数料もかかりますので、返還金額の詳細は銀行に問い合わせましょう。
買い替え時には注意
仮に、マンションを売却して新しく住宅を購入する「買い替え時」には、新しく購入する方の住宅ローンにも気を付けましょう。新しく購入する方の住宅ローンにも保証料がかかる場合がありますし、今の銀行とは手数料額が異なる場合があります。
現在ではネット銀行などが住宅ローンに参入してきているので、諸費用額や金利は銀行ごとに大きな違いがあるのです。そのため、「一括返済手数料」を確認するのを機に、買い替え先の住宅ローンの細かい諸費用も確認しておきましょう。
まとめ
このように、マンション売却時には一括繰上返済をして、マンションの住宅ローンを完済する必要があります。マンションの住宅ローンを完済して、抵当権を抹消してから、晴れて買主へ所有権を移すことができるのです。
ただ、上述したように一括繰上返済には、銀行によって手数料がかかってきますので、必ず事前に確認しておきましょう。
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