売却よりも賃貸がお得?相続したマンション処分の全手順と注意点まとめ

親からマンションを相続したのですが、すぐに売却した方がいいのでしょうか?

確かに、マンションを相続すると、固定資産税を支払う義務が生じるので、住まないのであれば、早く売る方が得ですが、その前に「賃貸」による貸出も検討した方がいいですよ。

賃貸ですか?なんとなく、人に貸すのって面倒で、複雑な手続きがありそうなので、ちょっと不安です。

大丈夫ですよ。賃貸として貸し出す場合も、マンションを売却する場合も、手続きに大きな違いはありません。それ以上にメリットがあるので、検討してみる価値はありますよ。
親から相続を受けた財産のうち、不動産を相続する場合もあります。不動産の場合には、その不動産に居住しないのであれば税金などの固定費がかかるので、早めに売却したいと思う人も多いです。ただ、売却以外にも「賃貸」という選択肢もあります。
そこで今回は、相続したマンションを売却するときの注意点と、賃貸するときの注意点を解説します。売却するか賃貸するか迷っている人は、しっかり確認してください。
この記事の目次
相続したマンションの売却方法
まず、相続したマンションを売却するポイントは以下の点です。
- 必要書類を探す
- 空室管理を行う
- 税制優遇
相続したマンションの売却方法自体は、通常のマンションを売却するときと同じです。つまり、不動産会社に査定依頼をして媒介契約を締結して売却活動をするという流れになります。その一連の流れに関しては、以下の記事を参考にしてください。
関連記事マンションを出来るだけ高値で売るための一括査定サイト
関連記事専任媒介と一般媒介、マンションを高く売るならどっち?
必要書類を探す
相続物件は親が書類を管理していたと思うので、売却に必要な書類がどこにあるか分かりません。そのため、まずは売却をスムーズに進めるために必要書類を探しましょう。マンション売却に必要な書類は以下の通りです。
- 登記簿謄本
- 売買契約書
- 重要事項説明書
- 地積測量図
- 図面
- 固定資産税納税通知書
- マンション管理規約集
- 本人確認書類
上記の中で、特に登記簿謄本については紛失している場合もあるので、真っ先に確認しましょう。また、そのほかの書類に関しては売却時の資料作りの際も必要な書類になります。これらのような、マンション売却時の必要書類は以下の記事を確認ください。
また、必要書類の詳細は不動産会社にヒアリングした方が早いです。そのため、相続物件の売却が決まっているのであれば、早めに査定依頼をしましょう。
関連記事マンション売却時の必要書類とは?紛失したらどうする?
空室管理を行う
相続物件はすぐに居住する必要がなければ、一旦放置しておくことが多いです。この放置物件が多いので、現在の「空家問題」が発生しているのです。物件は空き家にすると劣化速度は速くなりますので、きちんと空室管理する必要があります。
空室管理とは、具体的には「掃除」「換気」「通水」「郵便受けの整理」などのことです。これらを行わないとカビが発生したり臭いがこもったり、不動産価値を下げてしまうことになりかねません。空室管理については以下の記事を確認ください。
関連記事マンションは住みながら売却した方が良いか?空家の方が良いか?
税制優遇
相続物件の売却で最も気を付けるべきポイントは、税制優遇です。相続物件にも税制優遇が適用されますが、税制優遇が適用されるためには売却時期などの条件を知っておく必要があります。具体的な税制優遇は以下の通りになります。
- 相続税の経費算入
- 3,000万円の特別控除
まず、マンションを売却したときに利益(所得)が出れば、譲渡所得税という税金がかかります。仮に、マンションを相続したときに相続税を支払っていたら、その税額を経費として算入できます。経費として算入できれば、所得額が下がるので譲渡所得税額も下げることができます。
また、ある一定の条件を満たせば、3,000万円の特別控除の利用も可能です。3,000万円の特別控除とは、譲渡所得が3,000万円以下であれば非課税になる制度なので、非常に大きな税制優遇になります。
これらの相続物件売却時の税制優遇の詳細に関しては、こちらの記事で確認ください。
関連記事相続した古いマンションでも売却できる?高値で売却する4つの手順と税金の注意点
相続したマンションの賃貸方法
つづいて、相続したマンションを賃貸するときのポイントや注意点です。そもそも、物件を売却するべきか賃貸するべきかについては、「売却」を選んだ方がリスクは少ないです。以下に記載の賃貸時の「リスク」を考えた上で、賃貸の方が利益が出るときのみ、賃貸という選択をしましょう。
具体的に、相続物件を賃貸にするリスクは以下の点です。
- 物件を保有するだけで費用がかかる
- 不動産所得は総合課税
- 売却時の税制優遇が利用できない
- 譲渡所得税は高税率
上記4つのリスクをまず理解しましょう。特に物件所有にかかる経費や、売却時の税金などは高額な金銭が絡む部分になります。
物件を保有するだけで費用がかかる
不動産を賃貸に出すと以下のような経費がかかります。
- 固定資産税・都市計画税
- 管理費・修繕積立金
- 入退出の補修費
- 賃付けを依頼する際の仲介手数料
- マンション管理を依頼する際の管理手数料
- 確定申告を依頼する際の税理士報酬料
賃付けすることで賃料収入を得ることができますが、空室になると賃料収入は0円になります。しかし、賃料収入が0円でも、税金や管理費・修繕積立金はかかってくるのです。この経費を加味した上で、利益が出るかどうかの判断をしなければいけません。
不動産所得は総合課税
賃貸する際に収益が出れば、その収益は不動産所得になります。不動産所得は総合課税と言われ、ほかの所得と合算する所得です。たとえば、あなたがサラリーマンであれば給与所得があります。その給与所得と不動産所得を合算して、所得税率を算出するという流れになります。
所得税は累進課税※1と言われ、所得が上がれば上がるほど税率は高くなります。仮に不動産所得が赤字であれば、所得は下がるので税額は下がりますが、不動産所得が黒字であれば税額は上がります。
また、所得が発生するということは、確定申告が必要です。税理士に依頼することも可能ですが、その場合には数万円の費用がかかります。一方、自分で確定申告を行うと、領収書の整理や書類作成などの手間がかかる点は、賃貸にするデメリットといえるでしょう。
※1国税庁 「所得税」
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2260.htm
売却時の税制優遇が利用できない
また、先ほど解説した「相続税の経費算入」「3,000万円の特別控除」に関しては、一度賃貸に出すと適用することができません。
なぜなら、賃貸に出すということは「投資用物件」になるからです。投資用物件は税制優遇が適用されることは少ないので、仮に賃貸後に売却するときは税金が高くなりがちです。
譲渡所得税は高税率
先ほど言った通り、不動産を売却して利益が出れば譲渡所得税がかかります。譲渡所得税は、以下のように保有期間によって税率は異なりますが、いずれにしろ税率自体は高いです。
- 長期保有:所得税15%(復興特別所得税2.1%)、住民税5%
- 短期保有:所得税30%(復興特別所得税2.1%)、住民税9%
長期か短期かの基準は「5年」です。仮に短期保有の場合には約40%という高税率になるので、売却時に利益が出ても、大幅に利益は削られます。
まとめ
このように、賃貸にすると色々とリスクが多いのが事実です。しかし、さまざまなリスクを加味してでも、賃貸の収益が上がるのであれば賃貸でも良いと思います。また、相続物件を売却するときでも税制優遇が受けられるかなどは必ず確認しましょう。
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